「S Takumar 55mm F1.8」カメラを初めてしばらく経つと、一度は作例を見たり、その名前を聞いたりするオールドレンズの代表的な存在だと思います。
その個性的な写りに魅力や興味を感じますよね。
ピントが少し甘く柔らかい雰囲気があったり、光の入り方でフレアやゴーストが出やすかったり。
現代のレンズの正確な描写とは違い、撮るたびに思っていた写真とは少し違うものが撮れることがあります。
でも、その「思い通りにならなさ」が面白い。
そんな一期一会で、思いもよらない光の捉え方をするS Takumar 55mm F1.8の僕にとっての魅力をご紹介します。

今のレンズの方が、きれいに撮れるんじゃないの?
もちろん、安定してきれいに撮るなら今のレンズの方が合っています。
でも、S Takumarには「きれいに撮る」だけではない楽しさがあります。
- S Takumar 55mm F1.8を実際に使って感じた魅力
- オールドレンズ特有の描写の面白さ
- フレアやゴーストを活かした撮影の楽しさ
- 光の入り方で変わる、S Takumarの撮影体験
- 現代のレンズと比べて気になったところ
- S Takumar 55mm F1.8がどんな人に合いそうか
S Takumar 55mm F1.8を使い始めた理由
今のレンズとは違う写真を撮ってみたかった
カメラが好きになり、Instagramなどで作例を見ていたときに、虹のようなゴーストが印象的な写真に出会い、その現代のレンズでは撮れないような写真に憧れを持ったことがきっかけです。
そこから、オールドレンズについて調べ、まずは自分が最初に惹かれた虹のゴーストが出やすいと言われるこのレンズを手に取りました。
現代レンズと比べて、全然違う面白い写りをするのに、安く入手できたことも気軽に始められた理由です。
オールドレンズ特有の「ふんわり描写」
現代レンズとは少し違う、柔らかな写り
ピントを正確に合わせても、どこか柔らかく、被写体が光に包まれるような写りになることがあります。
それと同時に、背景のボケも現代の溶けるボケというよりは、にじんだような少し雑なボケ方がオールドレンズらしく柔らかな雰囲気をさらに引き立てている感じがします。
ピントが少し外れていても、それが「味」になる

ちょっとピントが外れててもいいの?
もともと柔らかな描写が特徴なので、少しピントが甘くなってしまった写真でも、意外と雰囲気よく見えることがあります。
撮影するときには「ちょっと甘いかな?」と思っていたものの、見返してみると、良い雰囲気になっていることもあります。
もちろん、狙ったところにしっかりピントが合っている写真は気持ちがいいですが、マニュアルフォーカス(MF)でピントを合わせる以上、毎回思い通りになるわけではありません。
でも、その少しのずれが柔らかさや空気感につながって、
そんな失敗も「これはこれでいいな」と思わせてくれます。
全部を完璧に撮らなくてもいい
マニュアルフォーカス(MF)なので、もちろんピント合わせは難しくなります。
僕は、Sony α7IIIのピーキング機能を使って、撮影していますが、
「ちょっと外れたな」という写真もでてきます。
でも、その写真が必ずしも消去対象になるわけではありません。
一期一会の撮影体験
太陽の位置、周りの光、自分の気分、その日の撮影環境。
撮影に関係する条件はたくさんあると思いますが、それらの状況が重なって、1枚の写真が記録に残ります。
S Takumar 55mm F1.8は、そんな撮影時の環境に大きく左右されるレンズのように感じます。
まさに同じ写真は二度と撮ることができないような感覚です。
光を探すようになった
光を入れると、写真が大きく変わる
同じ場所でも、光の方向が違うだけで全く違う写りをします。
強く光を入れるとフレアとゴーストが大きく発生し、柔らかな雰囲気と虹の円のオールドレンズらしい写真に。
逆光で撮影すると、少しノスタルジックな幻想的な雰囲気の写真になると感じます。
また、木漏れ日で撮影すると、そこまで主張の強くない玉ボケが自然にいくつも発生します。
S Takumarを使うようになってから、被写体だけでなく「光を見る」視点も加わりました。
花があるから撮る。ではなく、花に光が当たっているから撮ってみようという変化です。
フレアやゴーストが出るのも面白い
現代のレンズなら、フレアやゴーストの発生はきれいな写真を撮るには、避けたい現象だと思います。
しかし、S Takumarを使っていると、逆にゴーストを出したいという気持ちが強くなります。
普段は避けたかったフレアやゴーストが写真の雰囲気を作ってくれます。
そうして、そのときにしか撮れない写真が出来上がることが、このレンズの楽しさだと感じています。
S Takumar 55mm F1.8で撮った写真
柔らかい雰囲気
ISO 100 F1.8 1/3200s
中央の蕎麦の花にピントは合っていますが、幻想的に浮かび上がってくるような写りになっています。

ゴースト
ISO 100 F1.8 1/4000s
チューリップ畑に虹色のゴーストの雰囲気がピッタリ合っています。

フレア+ゴースト
ISO 100 F1.8 1/8000s
柔らかな雰囲気にフレアとゴーストがオールドレンズらしく写っています。
THE オールドレンズといった写りが好きです。

現代レンズと比べると、もちろん不便
MFなので撮影に時間がかかる
マニュアルフォーカス(MF)のため、じっくりファインダーを覗いてピントを調整しないと、きれいな写真が撮れません。
そのため、MF撮影になれていないと、撮影に時間がかかり、被写体が少しずつ変化してしまいます。
人物撮影のときには、それだけ被写体を待たせてしまうので、僕も何度もシャッターシーンを逃していました。
α7IIIのピーキング機能が補助的な役目を果たしてくれてはいますが、慣れていないとやはり時間はかかります。
動く被写体には向いていない
動く被写体は、「光の調整」「ピント調整」などなど、「調整」の時間を許してはくれません。
いくら甘いピントでもOKとはいっても、ブレブレすぎる写真しか撮れません。
そのため、じっくり光やピントを調整できる静的な被写体撮影に向いています。
いつでも納得のいく写真が撮れるわけではない
太陽の位置によっては、光の取り込みと被写体の位置関係の調整が難しくなり、構図的にアンバランスな写真になってしまったり。なかなか思い通りにフレアやゴーストを発生させられなかったり。かと思えば、意図せずフレアやゴーストが発生したり。
状況によっては思ったような写真にはなりません。
それどころか、僕の経験では思ったように写真が撮れることの方が珍しいぐらいです。
S Takumar 55mm F1.8はこんな人に合いそう
こんな人に合いそう
- オールドレンズに興味がある
- ふんわりした描写が好き
- フレアやゴーストを楽しみたい
- 光を意識して写真を撮りたい
- 少し思い通りにならない写真も楽しめる
逆に、慎重に考えた方がいい人
- オートフォーカス(AF)性能を重視する
- 動体撮影が中心
- いつでもシャープな写真を撮りたい
- とにかく失敗を減らしたい
- 撮影に時間をかけたくない
まとめ
S Takumar 55mm F1.8を使うようになって、写真を「きれいに撮る」ことだけが目的ではなくなりました。
ふんわりした描写。少し甘いピント。時おり現れるフレアやゴースト。
そして、光の入り方によって大きく変わる写真。
どれも、現代のレンズなら避けたくなることかもしれません。
でも、S Takumarでは、それらが写真の面白さになることがあります。
だから僕は、このレンズを使うとき、被写体だけでなく「今日はどんな光があるかな」と考えるようになりました。
きれいに撮ることだけではなく、撮ることそのものを楽しむ。
どうやってフレアやゴーストを活用しようかファインダーを覗いて、動き回る。
S Takumar 55mm F1.8は、そんな写真の楽しみ方を教えてくれるレンズです。

思い通りにならないのに、なんだか楽しそうだね。
そうなんです。たぶん、そこがオールドレンズの面白いところなんだと思います。
FOX NOTE 
